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高大連携

 高大連携とは

 高大連携とは、高校と大学が連携し、大学での模擬授業や高校の「総合学習の時間」に行う出前授業、また体験学習や高校生の「探究」活動に関する助言などを大学側がアドバイスするなど、高校と大学の「学びを接続」させる取り組みのことをいいます。

 また、指定校推薦などの推薦入試の進学枠が増えることにより、進学実績を確保したい高校側にとってもメリットがあります。さらに、大学側にとっては、直接大学の魅力を知ってもらえる良い機会になり、大学へ受験者を集めやすくなるというメリットもあり、相乗効果が期待できます。

 高生のメリット

・オープンキャンパスやYoutubeのキャンパス見学動画だけでは、進学先を決めるのは不安がある

・ハイレベルな講義が受けられ、興味が持てるものであれば、学部選びの参考にもなる

・最先端の研究を知ることで、興味のある分野のことをより深堀できる

・模擬授業の内容に刺激を受けて、新しい教科を好きになる可能性もある。
・体験授業を受けてみることによって、「こんなはずじゃなかった」という、大学入学後のミスマッチを防ぐ

 中学校・高校​側のメリット​と課題

 学校側としても「少子化」は非常に大きな問題です。まず学校は教育といえども、やはり生徒がいなければ存在できません。重要なポイントは、教育内容はもちろんですが、生徒の希望を実現させられる進学実績です。その中でも、早慶上理はトップです。

 しかし、早慶上理は少子化になってもなお、難関私大です。早慶上理は誰でも難しいですが、いかに興味を持たせ、「自分のこと」として希望を持たせるか、そのあたりのことを先生方は課題にされているのではないかと考えています。その難関私大に近づくためにも「高大連携」というのは一つのキーワードになってきます。

 さらに、医学部や薬学部等の推薦枠の拡大をはじめ、今後さらに理系への強化を図る上でも、中高側にとってさまざまなメリットがあります。入学を考えている親にとっても、安定的に難関大学へ進学できることは学校選びの好条件として考えられます。こういった理由から、高大連携は加速しています。

 角的なメリット

 「受験」や「進学実績」は、生徒・保護者にとっては、将来に直結する問題としての課題となり、また中高や大学側などは、経営を成り立たせるために受験者数をある程度保たなければなりません。

 端的に言えば、中高側にとっては「生徒の希望を実現させられる進学実績」が受験者数に響くわけです。そして大学側にとっては、「学生の希望を実現させられる就職実績」がものをいいます。就職実績は、中高生の保護者から見れば、自分の子どもが「将来どのように発展できるかというロードマップ」でもあります。

 高大連携による推薦枠などの確保は、こういった学校経営をする上でのメリットも多く、他方で、保護者にとっても、進学実績から就職実績までがある程度「安定的に確保されている」ということを魅力に感じるはずです。

 高大が連携をすることで、多角的なメリットにつながり、相乗効果が生まれることが、まさに高大連携の魅力であるといえます。

 高大連携のジレンマ

 高校側・大学側のそれぞれがWINWINの関係になる高大連携。ところが、高校側の希望と大学側の利害が微妙に異なり、高大連携協定締結まで、かなり時間を要することもあります。

 

 締結までの期間としては、大学にもよりますが、早いところで1か月から3か月、通常は1年から1年半程度で締結できます。時々、初回の面談から2年以上経過し、それでもまだ先行き不透明であるとのご相談を頂きますが、おそらくそれぞれの利害がうまく合致できておらず、そもそも無理がある組み合わせなのでしょう。2年を過ぎると混乱を深めてしまいますので、なるべく1年半程度でまとめることをおすすめしております。

 

 高大の各事情やホンネが、さまざまな高校と大学との連携協定をお手伝いしていると見えてきます。高校側、大学側の窓口の先生方は、当然のことですが、ご自身の所属している学校のみしか分かりませんので、全体を俯瞰した上で意見を聞きたいということでありましたら、是非ご相談ください。

 大学側のホンネ

 大学側はまさに、「受験者数の増加」および「入学者数の増加」です。まず、大学側のねらいは、受験者数の増加・入学者数の増加が軸になります。端的に言えば、この高校からであれば、入学者を受け入れたいと思えるような高校と連携したいというのが本音の部分です。

 

 過去の合格者実績・入学者数や学力、高校の歴史や伝統などのさまざまな要素が多分に含まれます。

大学ごとの教育方針や考え方にもより、単に学力(偏差値)のランクだけではないのも実情です。某学校に対しては、高大連携の基盤を整備中であるから等の理由でお断りし、別の学校とは内々に連携協定を結んでいくというケースも多々あります。

 

 高校側のプライドを傷つけることのないように、当たり障りのない理由でお断りするため、大学側も気を使うところではあります。例えば、ある学校にはやんわりとお断りをする一方で、上のランクの学校とは内々に連携を深めていたりするというのが高大連携の真実です。

■ 高校側のホンネ

 弊社へご相談された高校で、次のような事例がありました。いくつか大学や学部名を挙げて頂き、最初は「大丈夫ですかねー、高望みしていませんかねー」と先生も気弱になられていますが、いざご希望の大学との初回の面談が決まってみると、「このランクの大学であれば(弊社へ)報酬を払いたくない。お金を払ってでもお願いしたい(大学)ときにはお金を払いますから」と支払いを拒絶されたことが過去にありました。

 

 ここからが高大連携のポイントになります。高校側から見て「お金を払ってでもお願いしたい」と思われる大学とは(おそらく難関私大になるかと思いますが)大学側から見たときに「この高校と連携したいか?」と言われれば、それはNoになります。

 

 必ずしも、高校側と大学側の希望や利害が合致するわけではないというのが、高大連携の難しいところです。弊社では、合格実績や学力、あるいはその他の要素を客観的に分析し、つり合いがとれる高校と大学かということを検討します。

 

 実際に連携ができる(つり合いがとれる)大学は、高校側からみるとそれほど希望していない大学の可能性もあり、なかなか両想いにはならないようです。​

 教育方針と宗派

 高校の先生方からご質問を受けることの1つとして、高大の宗教的連携(通称:宗教縛り)についても触れておきます。例えば、カトリックの大学と高校との連携で、カトリックのみと連携する等による門前払いについては、よく無宗教の高校や宗教の異なる高校の先生方から、「不公平ではないか」、釈然としない様子で「どうにかなりませんか?」とのご相談をよく頂きます。

 先生方を悩ませる難関私大の宗教縛り。これについては日本人的な感覚としては理解しづらい問題もありますが、宗教を持っている大学側の目線で考えると、「宗教と教育方針というのが密接に関わりあっており、宗教と教育方針を切り離して考えることは難しい」と考えているのではないかと個人的には解釈しております。
 

 ある有名大学に関しては、高大連携はカトリックのみと50校ほど提携されているようです。しかし、先生方が釈然としない理由もよく分かります。これだけ入試が学力重視であるにもかかわらず、連携を取る時だけ宗教で縛るというのもいかがなものかと考えます。さらに、カトリックの学校同士連携をとるといっても、個々の生徒はどうか?個々の生徒もカトリック信者なのかといえば、それは微妙なところであります。

​ 視点をずらして、幼児教育に目を向けると、幼稚園受験にもさまざまなドラマがあり、難関幼稚園を受験するためにお受験塾なども存在しますが、どれだけ成績の良いお子さまでも、例えば「カトリック信者ではない」という理由で受験できなかったり、不合格になったりします。幼稚園受験、小学校受験の場合は、にわか信者を入れないという方針があるようです。

 ところが、中学受験は学力で合否が決まります。学力(偏差値)重視になり、宗教のある学校といえども、実際に信者なのかどうかというよりも、まずは学力を重視されます。その場合、個々の生徒は信者ではない可能性もあるため、高大連携においての宗教的な連携という観点は、若干筋が通らないのではないかと個人的には考えております。

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