
主体的な学びとは言うけれど…
■ 生徒がぜんぜん勉強してくれない!
「生徒が全然勉強しない!」
いつの時代も、先生方のお悩みはコレではないですか?
主体的な学びと言うけれど、主体的に学ばせるにはどうすれば良いのか?
中学受験までは、親と塾の先生が強制的に勉強させればなんとかなってしまうものです。それが良いか悪いかは別として。しかし、大学受験はそうはいきません。ある程度自ら学んで頂かないと、大人がなんでも強制できるわけではないという年齢になっています。
(先生方の声)
→ 先生が「勉強しなさい」と言わなくても、生徒が自らもっと勉強して欲しい
→ 生徒に一生懸命勉強させるために、全校集会で叱咤激励しているが、自己肯定感が落ちるだけであまり効果がない。
→ ほめて伸ばせと言うけれど、ほめたらほめたで油断する
ここで、先生と生徒の違いを一つ挙げると…
先生方というのは、基本的には「勉強が好き」で先生という職業を選択された方です。
生徒というのは、勉強が好きな子も、興味のない子もいます。
そこが、決定的な違いであり、何でこんなに勉強をしたがらないんだろう???と悩むところかと思います。
この部分のお悩み解決をすることによって、先生方の負担が減ります。
ただし、動機づけはもう古いですよね。
ここで、先生方と私の違いを一つ挙げると…
私は、研究室見学等の高大連携のイベントを開催し、生徒のみなさまの引率に携わっております。さまざまな学校の生徒のみなさまと接し、いろいろなお話をしながらキャンパスや研究室を回っております。
いつも異なる学校の生徒の皆さまと接することによって、ある意味、学校ごとの比較が可能になります。
「1つの学校の生徒の皆さまだけを見ているわけではないこと」
ここが、先生方との決定的な違いです。
当然のことかもしれませんが、学校の偏差値ランキング順(表現が悪くてすみません)に頭の良し悪しが存在するわけではありません。
生徒の皆さまを拝見していると、実は、偏差値ランキング順に存在するのは「自己肯定感」の高低です。
つまり、あまり希望通りの結果が出ていない子は、食わず嫌いのことが多く「勉強してもどうせダメに決まっている」と当初からダメと決めてかかって勉強をしていないということが言えます。
礼儀正しく、言葉遣いも丁寧な生徒さまで「この子たちは本当に優秀だな」と思いながら一緒にキャンパスを回っていると…
「見に来たけど、この大学は夢のまた夢で、こんなところ入れないから…」
「お姉ちゃんはここの大学に通っているんだけど、私はバカだから…」
などと、出てくる…出てくる…ネガティブな言葉の嵐。
自己肯定感を上げるために、ポジティブな言葉をかけますが、ある意味自分の中でポジティブなセルフトークができなければ、大学受験は乗り越えられません。
したがって、学力と認知(メンタル)の両方からサポートする必要があります。「できる」と予測するから「うまくいく」ものであり「どうせダメだ」とネガティブになれば、どれだけ優れた才能を持っていても、せっかくの才能が開花しづらくなってしまいます。
■ 自ら学ぶ力を育てる
自ら学ぶ力を育てるということは、日ごろから先生方もご尽力されていることと思われます。学力とメンタルの両方からサポートする必要は、前述しました。
もう一つ、自発的に学ぶ姿勢を身につけることとしては、GIGAスクールやスマートフォンの所有低年齢化により、手軽にインターネットにアクセスできる環境にあります。その環境下で、一つ重要になってくるのは、「探索力」ではないでしょうか。
インターネットを利用すれば、さまざまな情報にアクセスできる状況において、知識を「覚える」ことから「探索」して正解を導くための情報にアクセスできる能力にシフトしつつあります。
学習でのインターネット利用が日常的になったいま、近年の研究・分析データでは、小学校高学年及び中学生において、探索行為をしている子は、学習でのインターネット利用時間が長いという結果が明らかになっています。なお,学習以外のインターネット利用と探索行為の間には、関連は認められません。
また「ICTスキル」及び「学校の成績」と探索行為をしているか否かを合わせて分析し、実施している子どもでは、学校の成績が上位であるという結果が出ており、「情報を探索する」という行為そのものが大切であることがお分かりいただけるかと思います。
「探索行為」の習慣から「分かる喜び」「知的好奇心」へとつながり、主体的な学びを身につけることが可能になるのではないかと考えます。